悪徳業者の手口



当社は無料で相談も受け付けているため、よく電話等で「探偵に人探しを依頼して騙されたのですけど、どうにかなりませんか?」という相談を受けることがあります。残念なことに、悪徳業者というものは常に言い逃れの余地を残して依頼者を騙すのが普通ですので、そう簡単には法的手段で訴えることもできません。
‥‥ここでは、実際の相談内容を例にして、どんなパターンで悪徳業者に騙されるのか、そして悪徳業者を見分ける方法についても触れていきたいと思います。
相談者:A男さん(推定40歳代・自営業)

被害に遭ったA男さんは、大阪府内で製造業を営んでいたが、取引先だった会社の代表と突然連絡が取れなくなったということだった。大手銀行などが抱える不良債権に比べれば微々たる額であったが、それでもA男さんの会社にとっては回収しなければ大きな痛手となるレベル。相手の会社所在地に行っても本人はおろか家族すら不在。ここへきてA男さんは、本職の人間に捜索を依頼しようと考えた。

電話帳を開いて調べている時、数ある広告の中からA男さんの目を引いたのは、
「発見率98%以上の実績! 完全成功報酬制!」という太字の見出しだった。

さっそく記載されていた電話番号に連絡し、その会社近くにあるという喫茶店で担当者と打ち合わせをした。料金は先払いで、発見できなければ全額返金されるという形式。 特に経費などは請求しない、とのことだった。
料金の仕組みなどよく分からなかったA男さんだったが、成功報酬で経費も不要、ということなので調査を依頼。対象者について知っている情報(氏名・家族構成・会社名・自宅と会社の住所)をその場で伝え、調査料金は後日あらためて55万円を振り込むことになった。最悪の場合でも料金が戻ってくるのだから、特に危険を感じることもなくA男さんは全額振込みを済ませた。

そして待つこと3週間あまり。A男さん宅に報告書が郵送された。「対象者の所在を確認」ということで、報告書内には対象者の所在が書かれていた。さすがはプロの仕事だ、と感心したA男さんは、さっそくその住所地を訪れた。
‥‥しかし、何かがおかしい。書かれていた住所地に間違いないはずなのに、その小さなハイツは明らかに無人。事情を説明して管理会社に調べてもらっても、やはり内部は埃を被ったままの空室であった。戸惑うA男さんは、帰宅後すぐに自分が依頼した探偵社に連絡してみた。
ほどなく電話応対に出てきた担当者からは、「確かに本人の所在は確認しました。それでいないというのならば、既に別の場所へ引っ越したのでしょう」という返事。本人がいたという証拠写真については「尾行調査ではないから撮影の必要がない」。どんな方法で調査したのかについては「それは企業秘密なので答えられない」の一点張り。
結局、A男さんは対象者への債権を回収できないばかりか、本当に調査したのかどうかも疑わしい探偵社に多額の料金を取られる羽目になってしまった。

ここがポイント!

冷静に考えれば、人探し調査で発見率が100%近いなどということはあり得ません。それでも未だ、このような宣伝を大っぴらに繰り返している探偵社があるのは同業者としても恥ずかしい限りです。
また 、打ち合わせ場所が相手の事務所以外だったのも判断ポイントの一つ。
この時は、たまたま事務所が別の来客などで塞がっていた可能性もゼロではありませんが、所在地を明らかにしないのは悪徳業者の共通点でもあります。この時点でA男さんは、多少なりとも違和感に気付くべきでした。

また、この「報告書」が果たして本当に調査した上で作成されたのかは非常に疑問です。証拠も何もない状態で「ここにいました」とだけ言われても、依頼者としては信じることなどできません。
ましてや、どれだけの時間と人員を使って、どんな方法で調査したかを明かさないのは論外です。こんな基本的な情報でも「企業秘密」だと言って隠すような業者であれば、調査能力もたかが知れています。

本当に誠意のある探偵社なら、まず最初の相談段階で詳しい調査方針、追加費用の説明、そして調査が失敗に終わってしまうリスクまで開示した上で、依頼契約となるのが普通です。

人探し調査に限ったことではありませんが、世の中に「うまい話」など滅多にありません。口先だけの安さや安心感に惑わされることなく、大金を託すに値する探偵社かどうか見極める知識を、できるだけ多くの人に持っていただきたいものです。
相談者:B子さん(推定20歳代・会社員)

短大卒業後に外資系の企業で事務職を続けていたB子さんは、4年間にわたる同僚男性との交際の後、めでたくゴールインすることになった。
しかし喜びにあふれる一方で、B子さんには気がかりなことがあった。10代後半のころに付き合っていた別の男性に、ひどい言葉を叩き付けて別れてしまったという過去がB子さんにはあったのだ。そんなことを根に持つ男性でないことはB子さんも承知していたが、どうしても人生の大事な節目に謝罪して自分の中で決着を付けておきたい、と考えて男性(昔の交際相手)の所在調査を依頼することにした。

インターネット上で格安な人探し調査を検索した結果、最も料金が安かったのは「行方調査4000円」という関西地方の探偵社。40000円の間違いではないか、と最初は目を疑ったらしいが、確かに「4000円」と書かれている。
その探偵社にメールで問い合わせをしたところ、親切にも担当者の携帯電話番号まで付いて返信されてきた。携帯電話で応対した男性は、朗らかな声で「うちは最新の全国データベースを持っていますから、絶対に見付かりますよ」と答えた。
これで安心したB子さんは、指定された口座に4000円を入金して対象者の氏名・生年月日・当時の住所・当時の勤務先をメールで送信。探偵社からの連絡を待った。

しばらく後、探偵社からB子さんに連絡が入った。「対象者の住所がほぼ判明したが、どうしても実地調査が必要」という話であった。もう少しで全て判明します、と自信ありげに言われたB子さんは、実地調査料金と経費を合計して56000円の追加支払いに応じた。
‥‥しかし、待てども待てども連絡は来ない。しびれを切らしたB子さんは、何度も電話とメールで催促してみたが、メールは返信なし。携帯電話に至っては、呼び出し音が鳴る前から留守番電話に切り替えられる始末。この状態が2週間続いた時点で、B子さんは「騙された」と気付いたそうである。

そのような経緯で当社に相談が来たが、B子さんから聞かされた相手の探偵社名は、以前から当社もたびたび被害相談を受けている探偵社だったのだ。
このケースでは、被害額が6万円で済んだが、もっと巧妙なケースだと、さらに被害が拡大した可能性もある。

ここがポイント!

「思い出の人探し」に分類される調査は、家出人捜索などよりも比較的簡単なケースが多いのは事実ですが、それでも4000円という金額は明らかに異様です。

どんなデータ元を使ったとしても、これでは調査するだけで赤字になります。この悪徳業者の上手いところは、依頼に結びつく以前の段階でひたすら誠意ある対応をしたところでしょう。
しかも、一般人が探偵から「最新の全国データベース」などと自信たっぷりに言われたら、つい信じてしまうのも無理はありません(もちろん、そんな都合の良いデータベースなど実在しません)。

しかも、「いきなりの追加料金請求」というのも悪徳業者に多いパターンと言えます。この業者の場合、調査後ではなく調査中に期待を持たせながら追加請求したところが、また上手い方法です(あまり褒めたくありませんが)。
誰だって、「あと少しで成功する」という誘惑には意外と脆いものです。ここで追加料金を払わなければ最初に払った4000円も無駄になる、と錯覚させる手口です。

今回も先ほどのA男さんのケース以上に、本当の調査をした可能性は限りなく低いでしょう。
調査するルートにもよりますが、今回のように対象者の情報が比較的多い場合ですと、「ほぼ判明している」という中途半端な経過にはならないはずです。正確な住所が出るか、または完全に「判明しない」となるか、どちらかです。

‥‥要するにB子さんは、安い初期費用で依頼を獲得 → 追加料金を請求 → 契約放棄して逃げる、という典型的な被害を受けたことになります。

‥‥ここで書いたのは、あくまで悪徳業者を見分ける方法の一例ですが、それでも困ったときの参考にはなるかもしれません。悪徳な業者に騙されてお金と時間を無駄にしないよう、事前の情報収集はできるだけしっかりと行うことをお勧めしたいです。

悪徳業者の手口

 (あくまで目安であり、該当する業者が全て悪徳という訳ではありません)

会社像

・会社所在地が不明
・非通知電話が全て拒否される
・「株式会社」と称しながら、会社概要や代表者氏名が不明
・ネット上などで依頼者(被害者)からのクレームが多い
・「全国○○調査協会」などと架空の団体を主宰している

料金体系

・料金体系が不明瞭
・採算が取れないほど不自然に料金が安い
・経費など、追加費用についての説明がない
・返金についての説明がない(先払い成功報酬制の場合)

調査前

・打ち合わせを事務所以外でしか行わない
・絶対に発見できる、と言い切る
・脅迫的な言動で依頼契約を急がせる
・契約書類や領収書の発行を拒否する
・具体的な調査方法について説明がない
・失敗する可能性について説明がない

調査中

・調査経過について全く教えてくれない
・急に連絡が繋がりにくくなった

調査後

・いつまで待っても報告書が送られてこない
・調査不能の場合、その理由を教えてくれない
・経費などと称して、契約外の追加料金を請求する
・連絡しても全く繋がらない

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